※この記事は公開情報をもとにした私の整理メモです。将来の株価や業績を保証するものではありません。投資はリスクがありますので、最終判断はご自身でお願いします(必要に応じて一次資料もご確認ください)。
1. Arent(5254)とは?一言でいうと
建設業界の“大手企業と一緒にDXを作る(受託/共創)” と、出来上がった仕組みを“業務ソフト(SaaS寄り)として横展開する” の両輪で伸ばす会社です。
会社資料でも、「DX事業(コンサル〜システム開発)」と「プロダクト事業(サブスク型の自社プロダクト販売)」の2セグメントへ移行したことを明記しています。
2. Arentの事業ポートフォリオ(誰でもわかる用語で)
Arentの事業を、難しい言葉を使わずに分けるとこうです。
A. 大手企業の「社内DXを一緒に作る」仕事(DX事業)
- 建設会社などの大手顧客と一緒に、業務システムを作る(コンサル〜開発)
- 受注が大型化・長期化している、という説明もあります(例:直近10件平均で契約規模や月次が記載)。
B. 建設の実務をラクにする「業務ソフトを売る」仕事(プロダクト事業)
- 原価管理、工程管理などの業務ソフトを提供(サブスク型と説明)
- M&Aで獲得したプロダクトもアップデートして販売する方針が示されています。
C. “バラバラの業務”をつなげて、将来的に「プラットフォーム化」
- 原価・工程など複数アプリを連携させ、AI活用も含めて業務の自動化を狙う構想が示されています。
3. 対象市場(建設DX/ConTech)の規模と推移
市場は統計の取り方でブレますが、矢野経済研究所の「建築分野の建設テック(ConTech)市場」という切り口では、
- 2023年度:1,845億4,000万円(前年差+11.7%)
- 2030年度:3,042億7,000万円(2023年度比+64.9%)予測
が公表されています。
また、Arent自身も「建設業界は75兆円規模」といった大きな母数感を提示しつつ、BIM/SaaS化が進んでいない“ニッチ領域”を狙う、という文脈で語っています。
4. 最大の競合はANDPADか?
結論から言うと、“サービスの戦場”だけを見るとANDPADは最大級の競合候補になり得る一方で、Arentは(1)DX受託/共創の比重が大きい、(2)プロダクトも施工管理ど真ん中に限定されないため、完全な一騎打ちではありません。
- ANDPAD:施工管理・受発注・請求などを「現場〜経営」まで一元管理する“建設プロジェクト管理クラウドの本丸”
- SPIDERPLUS:図面×現場(写真/検査/帳票)に強い“施工管理アプリの定番”
- Arent:大手と共創で“業務そのものをBIM/SaaS化”し、プロダクト群を増やして連携・横展開していくタイプ(施工管理に限らない)
5. 比較表(サービス/事業の違い)
ArentとANDPADとSPIDERPLUSを比較します。
| 項目 | Arent(5254) | ANDPAD(未上場) | SPIDERPLUS(4192) |
|---|---|---|---|
| 立ち位置(ざっくり) | 共創DX(受託)+業務ソフト群(プロダクト) | 建設プロジェクト管理クラウド(統合型) | 施工管理アプリ(図面×現場)の定番 |
| 主戦場 | “大手企業の業務DX”+業務領域のBIM/SaaS化 | 現場〜経営までの業務一元化(施工管理/受発注/請求など) | 現場で使う施工管理(図面・写真・検査・帳票) |
| 収益モデル | DX:準委任/開発収入+プロダクト:サブスク等(開示は限定的) | SaaS(料金は基本“要見積もり”寄り、非開示が多い) | ストック中心(決算でストック収入を開示) |
| セグメント構成 | DX事業 77.6% / プロダクト 22.4%(会社計画) | 単一ブランドで多機能展開(周辺事業も) | 施工管理SaaSを軸に拡張(Workspace構想など) |
| 規模指標(顧客/利用) | SaaS顧客数の統一KPIは未開示(案件・プロダクト混在) | 利用社数23.3万社、ユーザー68.4万人(ANDPAD公表) | 契約社数 2,215社(FY2025/Q3時点) |
| 売上規模の見え方 | 連結PLを開示(上場) | 原則非開示(未上場) | 連結PLを開示(上場) |
| 直近の業績例 | 2026/6期 通期予想:売上 50.51億円、営業利益 15.51億円、EPS 229.03円 | 非開示 | FY2025/Q3累計:売上 35.97億円、営業利益 -0.58億円、粗利率 73.4% |
| 強み(VP) | “ニッチ業務をBIM/SaaS化”+プロダクト群を連携し拡張 | 統合型で現場〜経営までカバー、導入社数の圧倒的規模 | 図面起点の現場UX、ストック売上比率が高い |
| 弱み/注意点 | 受託比重があるため「SaaSの純粋KPI」が見えにくい | 財務・KPIが外部から見えにくい(投資家は買えない) | 収益は改善中だが、まだ利益が薄い局面がある |
| 競合関係 | ANDPAD/Spiderと“現場DX”では重なるが、Arentは共創DX+領域分散 | 施工管理クラウドの中心軸 | 施工管理アプリの中心軸 |
6. ANDPADは“最大手”なのか?
少なくとも ANDPAD自身は「シェアNo.1」と明記しており、根拠として 「ミックITリポート2024年12月号(デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ)」を挙げています。
さらに利用規模として 利用社数23.3万社・ユーザー68.4万人を公表しており、“最大級”であることはほぼ確実です。
7. SaaS KPI(ARR/ARPA/解約率など)開示と評価コメント
SPIDERPLUS(4192):SaaS KPIを比較的しっかり開示
- ARR:49億円(YoY+17%)
- ARPA:18.4万円
- 契約社数:2,215社
- 解約率(Logo churn):1.1%
- Revenue churn:0.6%
- 解約率1.1% / Revenue churn 0.6% はかなり健全(売上の落ちが小さい=既存が粘る)。
- 一方で、成長率(ARR YoY+17%)は“高成長SaaS”としては不満。今後は「新規獲得」か「既存ARPA拡大(ID増・全社導入)」のどちらが伸びるかが焦点になります。
ANDPAD(未上場):規模は出すがSaaS KPIは外部に出にくい
- 利用社数23.3万社、ユーザー68.4万人
- ただし、ARR/ARPA/解約率は(少なくとも公開情報として)非開示が中心です。
コメント:導入規模は圧倒的で“最大手級”だが、投資家目線のKPI比較はしづらい。
Arent(5254):事業が「受託+プロダクト混在」なのでSaaS KPIは出しづらい構造
- 会社は DX事業(77.6%)/プロダクト事業(22.4%) と説明し、プロダクトを「サブスクリプション型」とも記載します。
- ただし、ARR/ARPA/解約率といった“純SaaS KPI”は統一指標としては開示されていません(少なくとも決算説明資料上は、PL・案件・セグメント説明が中心)。
- Arentは現状、投資家が追うべきKPIが SaaSのARRより「DX案件の大型化・継続」「プロダクト比率の上昇」に寄ります。
- ここがハマると、将来的に「プロダクトが伸びてSaaS的な評価(マルチプル)」がつきやすくなる、という読み方ができます。
8. Arentのバリュープロポジション(ANDPADとの差別化)
Arentのバリュープロポジションは、施工管理クラウドの“ど真ん中”で勝負するより、
- BIM/SaaS化が遅れている“ニッチ業務”を狙う
- 大手と共創して作り、横展開できる形(プロダクト化)にする
- M&Aも使ってプロダクト群を増やし、連携して価値を上げる
…という「作り方・広げ方」にあります。
なので ANDPADとの差別化は、機能の多寡というより
“統合クラウドで現場を押さえるANDPAD”に対して、“業務の深いところをBIM/SaaS化して、プロダクト群で積み上げるArent” という棲み分けが本質です。
9. 投資対象としての比較|Arent(5254) vs SPIDERPLUS(4192)
※決算期が異なります(Arent:6月期、SPIDERPLUS:12月期)。比較は“ざっくり同じ時間軸の実績・予想”として見てください。
9-1. 売上高(推移)・利益(利益率)
業績の見え方の結論だけ先に言うと、
- Arent:高成長+高利益率(すでに収益モデルが完成しているタイプ)
- SPIDERPLUS:成長中だが赤字(黒字化・収益転換をどこで実現するかが主戦場)
です。
業績推移(実績→会社予想/コンセンサス)
(単位:百万円、前年差は各ソースの表示に準拠)
| 企業 | 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率(概算) | 当期利益 |
|---|---|---|---|---|---|
| Arent | 2024/06(実績) | 2,939 | 1,236 | 約42.0% | 658 |
| 2025/06(実績) | 4,028 | 1,690 | 約42.0% | 633 | |
| 2026/06(会社予想) | 5,051 | 1,551 | 約30.7% | 1,518 | |
| SPIDERPLUS | 2023/12(実績) | 3,194 | -442 | 約-13.8% | -463 |
| 2024/12(実績) | 4,072 | -519 | 約-12.7% | -7,716 | |
| 2025/12(会社予想) | 4,900 | -58 | 約-1.2% | — | |
| 2025/12(コンセンサス) | 5,780 | 60 | 約1.0% | 36 |
- Arent:売上成長が続きつつ、営業利益率が40%台→会社予想で30%台へ(= 伸ばすための投資・人員増・案件ミックス変化などで“利益率を使う”局面になりやすい)点が最大の論点です。
- SPIDERPLUS:売上は伸びている一方で赤字が続いており、会社予想では営業損益がほぼトントン近辺(-58百万円)まで改善、さらにコンセンサスでは黒字化の見立てもあります。
9-2. PERなどバリュエーション比較(2025/12/26時点)
結論:Spiderは利益が赤字なので“PER比較が成立しない”(PERは表示不能/無意味)です。赤字SaaSは PSR(時価総額÷売上) などで相対比較するのが現実的です。
| 指標 | Arent(5254) | SPIDERPLUS(4192) |
|---|---|---|
| 時価総額 | 20,182百万円 | 10,742百万円 |
| 売上高(会社予想) | 5,051百万円 | 4,900百万円 |
| PSR(時価総額÷売上高) | 約4.0倍 | 約2.2倍 |
| PER(会社予想) | 12.91倍 | —(赤字で算出不可) |
| PBR(実績) | 3.66倍 | 4.18倍 |
PSR(時価総額÷売上高)は、「この会社の売上1円に対して、市場が何円の価値を付けているか」を見る指標です。利益が赤字でPER比較が難しい局面でも、売上規模をベースに“割高・割安の目安”をつけやすいのが特徴です。
今回の試算では、
- Arent:PSR 約4.0倍(売上1円に対して、時価総額は約4円の評価)
- SPIDERPLUS:PSR 約2.2倍(売上1円に対して、時価総額は約2.2円の評価)
となりました。
単純比較すると、Arentの方が「売上に対して高い評価(プレミアム)」が付いています。背景としては、Arentはすでに利益が出ており(利益率も高め)、成長の見通しも織り込まれやすい一方、SPIDERPLUSは売上は伸びているものの収益はまだ改善途上で、評価が“利益の確度(黒字化)”待ちになりやすい、という見方ができます。
ただしPSRは、「利益率」「解約率」「成長率」「売上の質(ストック比率)」を直接は反映しません。したがってPSRだけで結論を出すのではなく、
- Arentは「高PSRに見合う成長継続・利益率維持ができるか」
- SPIDERPLUSは「黒字化の確度が上がればPSRが切り上がる余地があるか」という観点で、決算ごとに見直すのが実務的です。
9-2. PERなどバリュエーション比較(2025/12/26時点)
結論:Spiderは利益が赤字なので“PER比較が成立しない”(PERは表示不能/無意味)です。赤字SaaSは PSR(時価総額÷売上) などで相対比較するのが現実的です。
Arent(5254)の投資方針(私の運用ルールとして整理)
※本内容は公開情報をもとにした私の整理メモです。売買を推奨するものではありません。最終的な投資判断は自己責任でお願いします。
0) 前提(2025/12/26時点)
- 株価:2,998円(12/26終値)
- PER(会社予想):12.91倍
- 予想EPS:232.30円
1) 投資ストーリー(株価が上がるロジック)
Arentは、短期(今期)と中期(数年)で“勝ち筋”が分かれていると見ています。
短期:今期の利益を作る主役はDX事業
- 今期の利益は、基本的に DX(共創/受託)側で作る構造。
- 新規の大型案件は長期契約で、下期で売上計上が進むという説明があるため、四半期が進むにつれて数字で裏付けられるかが焦点。
→ まずは 「下期で数字が伸びる」説明と実績が一致するか が1年の合否ライン。
中期:M&Aしたプロダクト群を“つなげて伸ばす”
- 工程・原価などのプロダクトを増やし、連携を強めていく構想がある。
- ここが進むと、単体機能勝負ではなく、“つながる便利さ”=スイッチングコスト/クロスセル が効きやすくなる。
→ 中期は 「プロダクトが“単体”から“連携価値”に進化するか」 が評価の上振れ要因。
2) 年始早々に投資する
私は(説明が“下期寄り”の銘柄)は、最初から全力にせず、仮説確認で分割します。
- 第1回(着手):年始に小さく入る(例:予定額の30〜40%)
- 理由:現状PERが極端に高いわけではなく、入り口としては過熱感が強すぎない
- 第2回(確認):次の決算で「下期寄り計画が進んでいる」兆しが出たら追加
- 第3回(確信):ガイダンス維持+受注/案件の伸びが見えた時だけ、さらに追加
※逆に、決算で説明と数字がズレるなら、私は“追加しない”を徹底します。
3) 何を基準に保持するか(保持を続ける基準)
保持の判断は、できるだけ主観を減らして Yes/Noで判定します。
保持(場合によっては買い増し)の条件
- 通期ガイダンスが維持されている
- 「下期で計上が進む」という説明に沿って、2Q→3Qで売上・利益の伸びが見える
- DXが主役で利益を作れている(説明と実績が一致)
- 連携価値(工程×原価など)の事例や言及が増え、プロダクトが“点”から“面”に進んでいる兆しがある
保持をやめる(縮小/撤退)の条件
- ガイダンス下方修正(これが最重要の即アウト条件)
- 「下期で取り返す」の説明が続くのに、四半期が進んでも実績が伴わない
- 先行費用・M&A費用が増える一方で、利益回復の道筋が曖昧(一時費用が恒常化している)と感じた時
4) いくらまで持つのか(目標レンジの置き方)
私は、目標株価はざっくり PER×EPSで“レンジ”として置き、状況で上書きします。
(EPSは会社予想232.30円を使用)
- 守り(PER 12倍):232.30 × 12 ≒ 2,788円
- 評価が広がらないケースの下限目安
- 標準(PER 16倍):232.30 × 16 ≒ 3,717円
- 下期で計画が見えて、評価が少し戻るケース
- 強気(PER 20倍):232.30 × 20 ≒ 4,646円
- DX成長+プロダクト連携が評価され、成長株として再評価されるケース
私は「到達したら全売り」ではなく、標準レンジ到達で一部利確し、強気レンジは“数字が伴う場合のみ”追う、という設計が現実的だと思っています。
決算ごとのチェックリスト
✅まず最初に見る
- 通期ガイダンスは維持か?(2026/6期)
- 売上高:50.51億円
- 営業利益:15.51億円
- 親会社株主に帰属する当期純利益:15.18億円
- 1株当たり当期純利益(EPS):229.03円
私の投資方針
- 買う理由:短期はDXで利益、中期はプロダクト連携で評価の上振れ余地
- 持つ理由:ガイダンス維持+下期で数字が伸びる(説明と実績の一致)
- 捨てる理由:下方修正、または「下期頼み」の説明が数字で証明されない
- 狙うレンジ:2,788(守り)〜3,717(標準)〜4,646(強気)


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